【読書感想】『サービスの裏方たち』から「仕事をする意味」を学ぶ

  • 2020年6月9日
  • 2020年7月12日

本好きのアラフォー会社員「たすく」です。

『サービスの裏方たち』(野地秩嘉 著)の紹介をします。

この本は

「仕事をする意味を教えてくれる本」

だと思います。

自分の仕事に真剣に向き合う10人のエピソードが書かれています。

プロとしてどのような心意気で仕事をしているのかというのが分かる本です。

・今の仕事に意義を見出せていない人
・仕事に自信や誇りを持てない人
・仕事を楽しんでいない人
・就職、転職活動をしている人

仕事について改めて考えるきっかけになります。

『サービスの裏方たち』(野地秩嘉 著)はどんな本?

著者は野地秩嘉(のじ つねよし)氏

・著者の野地秩嘉(のじ つねよし)氏はノンフィクション作家
・1957(昭和32)年、東京生まれ

早稲田大学商学部卒。

美術展のプロデューサーなどを経て、ノンフィクション作家に。

著書に『サービスの達人たち』『サービスの天才たち』『キャンティ物語』『ビートルズを呼んだ男』『芸能ビジネスを創った男』『TOKYOオリンピック物語』などがある。

著者が書いたレポートやインタビュー記事を雑誌で読んだことがあります。

文章が丁寧におもしろく書かれている印象があります。

『サービスの裏方たち』の初版は2011年7月1日

初版は2011年7月1日

『サービスの裏方たち』は新潮文庫から販売

出版元は新潮文庫です。

『サービスの裏方たち』の分量・読みやすさ

合計 251ページ

・文庫本
・あとがきまで入れて251ページ

普通

「裏方」の仕事が10個書かれています。

1つのエピソードはだいたい20ページ程度です。

その20ページの中にその人がなぜその仕事をしていて、より良いサービスを提供するためにどのようなことにこだわっているのかということが書かれています。

『サービスの裏方たち』の目次と概要

10のエピソードについて、本屋での立ち読み程度にかいつまんで簡単に紹介します。

1、学習院の給食のおばさんの話

タイトル

「学習院の初等科の伝統を支える給食のおばさん」

学習院初等科の昼ごはんの給食を作るおばさんのお話です。

皇室の方がよく通われる私立の学習院の小学校が舞台で、給食のおばさんがどのようなことを考えて最高のお昼ご飯を作るのかということをが書かれています。

給食の話が本筋ですが、

・学習院の歴史
・教育方針
・学習院初等科の様子

が分かる内容になっていています。

2、横浜の洋服店「フクゾー」経営者の話

タイトル

「ハマトラと横浜の頑固なファミリービジネス」

横浜の洋服のお店「フクゾー」の話です。

創立から三世代にわたるこの店の洋服をつくることのこだわりが読み取れます。

横浜が戦後の焼野原から復興していく様子、1970年代末の「ハマトラ」ブームのことなども書かれていていました。

3、イギリスで岬の断崖に劇場を作った女性の話

タイトル

「崖の上にある世界一のシェークスピア劇場」

イギリスのある劇場が舞台です。

「人が行くには不便そうな岬の断崖にあり、しかも屋根も壁もない」劇場を「ひとりの老婦人が数十年かけて自力で完成させた」話です。

シェイクスピア劇について語られている部分で、その熱い思いを感じました。

4、日本で魚肉ソーセージを売り出した人の話

タイトル

「戦後日本の腹を満たした魚肉ソーセージの父」

日本で初めて魚肉のソーセージを売り出した人の話です。

戦後の食料事情が貧しい時代に「痩せた子どもに美味しいものを食べさせたかった」ので魚肉のソーセージの開発に没頭した人のことが書かれています。

昭和30年代頃の日本の乏しい食生活のこと、太平洋戦争の戦中・戦後を生きぬいた人のエピソード、ソーセージ開発の苦労話が書かれています。

5、スカイラインを生み出した人の話

タイトル

「空を目指さなかったエンジニアの車なんて・・・」

スカイラインを生み出した人の話です。

1964年当時、国産車は外国車の足元にも及ばないと思われていた時代の話です。

レースでわずかな距離だけスカイラインがドイツのポルシェを追い抜いて走ったエピソードを中心に、車の開発の熱い思いが書かれています。

今は世界に通用する日本車ですが、昔は質が低かったようです。

粗悪品だった日本車を世界で通用するまでになった礎(いしずえ)肌で感じられる話でした。

6、赤飯を作る和菓子店の話

タイトル

「おめでたいお赤飯は、和菓子店で購うべし」

赤飯を作る和菓子店の話です。

話の中に、 ザ・ビートルズが日本武道館で行ったコンサートの館内警備を担当した人の裏話もあります。

赤飯に馳せる和菓子店の思いが書かれています。

7、女性クレーンオペレーターの話

タイトル

「絶景の特等席に座るクレーンオペレーター」

日本で数少ない女性のクレーンのオペレーターの話です。

27歳の「あずみちゃん」がオペレーターの仕事を選ぶまでの背景、働いている工事現場の話が書かれています。

建設現場の実情などが書かれています。

8、銀座の超一等地で200年営業する大黒屋の話

タイトル

「銀座の老舗は、商売替えを厭わない」

銀座の超一等地で寛永12年(1800年)の創業当初からずっと同じ場所で店をしている「大黒屋」の話です。

明治維新以降から2010年代までの銀座の歴史、銀座で商売をする人たちの思いが書かれています。

9、俳優の高倉健が好きになった絵の話

タイトル

「高倉健が魅せられたレンブラントの模写」

俳優の高倉健が好きになった絵の話です。

高倉健さんがある絵を好きになってその模写を依頼することになったエピソードが書かれています。

模写をする老画家をはじめ、レンブラントのことやベルリンの美術館のことが書かれていて美術の世界の裏側に触れられました。

10、クレイジーケンバンドの話

タイトル

「日本一サービス精神のあるロックバンド」

最後はクレイジーケンバンドの話です。

前編に著者とバンドリーダーの横山剣さんの対談があり、後編では著者が1人のファンとしてこのバンドについて語っています。

横浜のライブハウス「フライデー」についても書かれています。

作者の野地さんのバンド愛が伝わってきます。

『サービスの裏方たち』から学んだこと

僕にとっては本当に読みやすい本でした。

・仕事に真剣に向き合っている姿
・時代を生き抜いた人の生き様

活躍する人たちを丁寧に著者の視点から書かれています。

全てのエピソードが、仕事に真剣にかかわっている人の話で、人のために人の見えないところでめちゃくちゃ努力して下さっている人がいるというのを改めて感じました。

取材はきっと大変だっとおもうのですが、著者は楽しみながら進めていらっしゃったんだろうなという思いも伝わってきます。

10個のエピソードは普段の生活ではあまり気づかない人たちのことが書かれていてとても面白かったです。

『サービスの裏方たち』を読んだまとめ

普段の生活では気付きにくい仕事について語られていて面白かったので、ぜひたくさんの方に読んでほしい本です。

なかなか垣間見ることができない世界を紹介していただけました。

この本では第二次世界大戦後の復興期を生き抜いた人、アラフォーの僕から見ると世代が1つか2つ上の人達の時代についても書かれています。

今の時代にスーパーで気軽に買える物が、当時は高級品だったということにも気づかされます。

よければぜひ読んでみてください。

最後まで読んでくださりありがとうございました。